共催:手と目でみる教材ライブラリー
協力:奇石博物館
会期 2022年11月16日(水曜日)から、2022年3月18日(土曜日)
(祝日を除く水曜日・金曜日・土曜日のみ開館)
会場:ふれる博物館
開館時間:10時~16時 ●事前予約制です
入場無料
※会期中の祝日は休館となります。
開催にあたって
静岡県富士宮市にある奇石博物館の全面協力により、このたびは「石」をテーマとした展示を行います。
地球をリンゴに例えると、地殻は皮ぐらいの厚さしかないといわれています。その地殻は様々な岩石で構成されてします。今回の企画展では岩石の中でも、手ざわりだけでなく、音、重さ、匂いなどを感じる、変わった岩石を展示します。
ぜひご来場ください。
【主な展示品】
花崗岩、石英、長石、白雲母、ストロマトライト/化石、蝋石、ボーキサイト、磁鉄鉱、方鉛鉱、軽石、カンカン石、富士山の溶岩、鳴き砂、スパー石、黄鉄鉱、石灰岩、アンモナイト/化石、オウムガイ/現生、さざれ石、アメシスト、ルビー、サファイア
以下、展示物のなかの一部をご紹介します。
花崗岩(かこうがん)
- 英名;Granite(グラニット)
- 産地;茨城県笠間市稲田
- 時代; 新生代 暁新世(約 6,300万年前)
- この石は、2011年3月11日、東日本大震災の際に倒壊した鹿島神宮の大鳥居の石材片です。地下深部で溶けていたマグマがゆっくり冷えてできる深成岩の一つで花崗岩と呼ばれます。茨城県の稲田地域で産出する花崗岩は主に黒い黒雲母、白い正長石、グレーの石英が集合してできており、触るとそれぞれの粒のザラザラとした触感が伝わります。黒雲母や正長石や石英は、それぞれが独自の化学組成と結晶構造を持っており「鉱物」と呼ばれます。この鉱物が集合してできるのが「岩石」です。マグマが冷えてできる岩石には、この花崗岩のようにゆっくり冷えてできる深成岩のほかに、地表付近で急冷してできる火山岩があります。
花崗岩(かこうがん)
ストロマトライト
- 英名;Stromatolite(ストロマトライト)
- 産地;モロッコ
- 時代;中生代 白亜紀 (約1億4500万~6600万年前)
- この石には丸いドーム構造があります。この丸いドームを裏返すと 同心円状のヒダが 繰り返されています。この石は、ストロマトライトと呼ばれます。これはシアノバクテリア(藍藻)の生命活動に伴ってつくりだされる構造物の総称です。シアノバクテリアは浅海域の海底 などに生息し、日中は太陽光を得て光合成を行って酸素を生産し、夜間は休眠して海底に降り積もる砂泥を周囲に分泌した粘液で固定 します。延々とこれを繰り返した結果できあがったのが、同心球体状のドーム構造が重なってシマシマとなったこの石なのです。シアノバクテリアが地球に誕生したのは35億年前と考えられており、27億年前になると地球上は多くの酸素で満たされたと考えられています。 このように地質時代の生物が残した生活の痕跡は生痕化石と呼ばれます。
ストロマトライト
葉ろう石(ようろうせき)
- 英名;Pyrophyllite(パイロフィライト)
- 産地;韓国
- この石にはヌメッとした特徴的な手触りが感じられます。これは、 いわゆる蝋感と呼ばれる触感です。軟らかい葉石を主体とする岩石は一般的に蝋石と呼ばれます。多くの場合、石英や長石を多く含む珪長質の火山岩が強い酸性溶液の熱水による変質作用を受けることで生成されます。また、プレートの衝突境界などでは強い圧力が広く深い範囲におよんで広域変成岩ができます。その1つの結晶片岩中にも紅柱石(Andalusite:アンダリュサイト Al2SiO5)などを伴って葉ろう石は 産します。
明治期、蝋石は、これを細長く切り出して「石筆」と呼ぶ筆記具に用いられました。 鉛筆代わりに用いられたのが石筆であるのに対し、記録用の帳面代わりに用いられたのも広域変成岩の黒い粘板岩(スレート) からつくられた「石板」でした 。
葉ろう石(ようろうせき)
カンカン石
- 英名;Bronzite andesite(ブロンザイト アンデサイト)
- 産地;香川県 国分寺町
- 時代;新第三紀中新世(約1300万年前)
- この石は、叩くとお寺の鐘のような音で響くため「カンカン石」「馨石」と呼ばれます。明治期の初めに来日したドイツの地質学者「エドムント・ナウマン」によって見いだされた岩石です。その後、祖国の研究者が発見地にちなみ讃岐岩(サヌカイト)と命名しました。ちなみに日本列島を東西に分ける地溝帯「フォッサマグナ」や「ナウマンゾウ」の名前も、このナウマンによる命名です。カンカン石は、マグマが地表付近に噴出してできた火山岩ですが、粗い結晶を多く含む富士山の溶岩などとは対照的に大きな結晶をほぼ含まない緻密なガラス質の溶岩です。この岩石の緻密な構造は、打撃による振動を吸収することなく岩石中を伝搬でんぱんするのに適しているため、澄んだ金属音が出ると考えられます。
カンカン石
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