日点自立支援室ニュースレター Vol.07 2022年夏号 1ページ目 ごあいさつ  まだまだ暑い日が続きますが、8月も中旬を過ぎ暦の上では秋になりました。皆さん元気にお過ごしでしょうか?世相は暗い話題が多いですが、人間の営みに関わらず季節は巡っていきますね。蝉の鳴き声も「ミーンミーン」と鳴くミンミン蝉から「オーシツクツク」と鳴くツクツクボウシに変わってきてますし、空の雲の形も、もくもくとした入道雲から鱗の様な形の雲に秋を感じることも増えてくると思います。秋刀魚や茄子が美味しいのも秋ならではです。日々の暮らしの中でふと感じる季節の変化を楽しめたらよいですね。  さて、今回のニュースレターでもお役立ち情報を紹介します。どうぞお楽しみください。(文責:島田) 2~4ページ目 生活訓練の一コマ「レクリエーションプログラム のご紹介」  自立支援室では、生活訓練の利用者様を対象に、月に1度、情報提供や交流を目的とした、気軽に参加していただけるレクリエーションプログラムを実施しています。訓練の際やメールではご案内していますが、実際にどのような様子で行われているのか、普段の支援員とのマンツーマンの訓練とは違うプログラムの雰囲気をご紹介いたします。  今回ご紹介するのは、6月に行われた「グラマ体験会」です。「グラマ」とは、都内の大学生6名が考案した、視覚に頼らずチームでコミュニケーションを楽しみながら挑戦するゲームです。大学生グループ「ビーラインドプロジェクト」から、2名の頼もしい学生を招いて、グラマについて語っていただいた後、実際に皆で体験しました。  この日の参加者は、利用者様4名に加え、生活訓練を卒業した先輩、それに自立支援室の職員も入れ替わりながら6名と、大学生を含めて13名が和気あいあいと集いました。場所は、図書館の本館3階多目的室、50名ほど入れる大きなお部屋です。  4人1チームでテーブルを囲んで、まずはグラマとは何か、誕生秘話から聞きました。大学で受けた福祉の講義をきっかけに、障害者と健常者の垣根をもっと低くするためには、皆で対等な関係で一緒に何かに挑戦する機会があれば、コミュニケーションが深まるのではないかと考えたそうです。楽しみながら取り組めるゲームのアイディアを形にし、今年、2022年1月から体験会を開催するようになったそうです。新聞やテレビで取り上げられたほか、6月には兵庫県で盲学校の児童と、地域の小学校との交流会でも実際に取り入れられ、子供たちのコミュニケーションのよいきっかけになったそうです。  いよいよ、体験です。まず、一人一人に小さな巾着が配られます。この巾着には石、金属、木などでできたおもりがいくつか入っていて、どうやら皆重さが違います。大学生から「では、手元にある重さをコンビニにあるもので伝えてください」と課題が出されます。「バナナ3本」「ヨーグルトドリンク」「うまい棒」など、分かるような分からないような・・・。出し合ったものの中で皆が合わせやすいアイテムを決めます。私のチームは「うまい棒2本」になりました。  テーブルの中心には大きな箱があり、様々な素材のおもりがたくさん入っています。小さいのに金属で重たげなパチンコ玉、ドロップスぐらいの大きさの軽石、木の素材など大きさも重さも様々なおもりがあり、巾着の中身を出し入れしながら、各自うまい棒2本分の重さに近づけていきます。  最後、4つのお皿がついた天秤が出てきて、四方から自分の巾着を置いて、倒れずに釣り合えばゲームは成功ですが・・・。 1回目、私たちの天秤は見事に倒れてしまいました。巾着には鈴がついていてジャラジャラーっと盛大な音で崩れました。  悔しいので、もう一度巾着の中身を調整して、2度目で成功させました。隣のチームは1発で成功したようで、盛大な拍手と盛上りが聞こえてきました(4人しかいないはずなのに)。  チームのメンバーを交代して、2回ほど遊び、あっという間の2時間でした。2回目は、「持っている重さを、目標で表してください」というお題が出されました。手に感じる重みを、形のない目標に重ね合わせて、しばし皆考え込みます。生活訓練で目指していることを目標として発表してくれた方もいて、普段は共有することのない一人ひとりの訓練に対する思いを語り合うきっかけにもなりました。 頼もしい大学生のリードのもと、とても和やかな雰囲気で、利用者様はもちろんのこと、職員にとっても楽しく、気付きの多いひと時となりました。これまで障害者と関わったことがなかったという19、20歳という若い大学生たちが、こんなにワクワクするアイデアを形にしていることが、まぶしく感じられました。  レクリエーションでは、毎月テーマを決めて、おしゃべり会、スマホアプリの体験、スポーツ、分館施設のふれる博物館へのお出かけ&鑑賞など、様々な企画を催します。ぜひご参加ください。 (文責:上田) 5~7ページ目 最近流行りの機器&アプリよもやま話 -バッテリーへの充電は腹八分目がいい?-  いまやスマホだけでなく充電式の機器が世の中にたくさんあります。デジカメのようなバッテリーを取り外して充電できる機器ならバッテリーが劣化して駄目になってもバッテリーを買い直せば長く使え、予備のバッテリーを持っていれば充電切れしてもすぐにフル充電で使えます。しかし、バッテリーが取り外せない機器は修理に出す必要があり、バッテリー交換費用を考えると新しく買い直した方が良いというパターンもあります。 そして、悲しいことに・・今のスマホはバッテリーが取り外せない機種がほとんど! 高い機種だと10万円以上するスマホもバッテリーの寿命は平均3~4年です。 それではスマホのバッテリーの寿命を少しでも長持ちさせるにはどうしたら良いのでしょうか? スマホのバッテリーを人にたとえて説明していきます。 対応策その1:スマホの充電は80%程度でストップ!100%になっても充電し続けるのはやめましょう。 解説:人間が食べ過ぎると体に良くないのと同じで、スマホも100%まで充電せず腹八分目(80%程度)を心がけましょう。充電し続けると満腹の人にご飯を無理やり食べさせるのと同じで、スマホも苦しくて高温になり、この熱によりバッテリーが劣化します。 対応策その2:スマホのバッテリー残量を0%にしないように、20%くらいになったら充電しましょう。 解説:人間が完全な空腹になると動けなくなるのと同じで、バッテリーが0%になり、さらにそのまま放置するとバッテリーの劣化につながります。 対応策その3:スマホの今のバッテリー状態を時々チェックしましょう。 解説:最近スマホのバッテリーがすぐに切れる・・新品と比較してどれくらい劣化してるか見えないからわからない・・。人間も具合が悪くてもどこがどれぐらい悪いのかすぐにわからないのと同じで、スマホのバッテリーも劣化状態は以下の方法で調べないとわかりません。 ◯iPhoneの場合:以下の順番に画面を開いていってください。 設定→バッテリー→バッテリーの状態 バッテリーの状態画面に「最大容量◯◯%」と書いてあるところが新品時と比較して現在のバッテリー容量がどのくらいあるのかという数値になります。 例えば、バッテリー最大容量50%の場合、100%充電しても実際の容量は新品時の半分しかないので半分の時間でバッテリー切れしてしまいます。 ◯Androidの場合 以下の順番に画面を開いていってください。機種によってメニューの表示名が違うので参考程度にして下さい。 設定→端末情報→バッテリー情報または電池性能表示 画面を開くとバッテリー性能がパーセント表示または「良好」「劣化している」のように書かれています。 機種によってバッテリー情報画面がない場合もあるのでその時は「AccuBattery」などのバッテリー管理アプリをインストールしてバッテリーの劣化具合を確認して下さい。 iPhoneの場合は500回フル充電してもバッテリー最大容量は80%までしか劣化しないとメーカー発表されています。ちなみに1回のフル充電というのは、合計100%充電することで、たとえば昨日20%+今日80%充電したら1回のフル充電とカウントされます。 それでは、スマホの電気食べ過ぎに注意し、皆様も体調管理に注意して暑い夏を乗り越えましょう! (文責:清水) 巻末特集8~11ページ 障害基礎年金に該当する視力障害と視野障害の内容について みなさん、こんにちは。 ニュースレターをご覧いただき、ありがとうございます。 昨年度の冬号で、障害年金の等級が障害者手帳の等級に合わせて改定されたことをお知らせしましたが、もっと具体的な情報が欲しいというご意見をいただきましたので、今回は補足として、年金に該当する障害の程度について情報提供させていただきます。 とはいえ、視力障害の基準はとても分かりやすいのですが、視野の基準はやや複雑です。頑張って分かりやすくご説明したいと思いますので、お付き合いいただけたら幸いです。 1 視力障害の基準について 1級に該当するのは以下の条件に該当するかたです。 ① 視力の良い方の眼の視力が0.03以下のかた 例えば、右眼の視力が0.03の場合、左目が0.03、0.02、0.01、指数弁、手動弁、光覚弁、0のかたが該当します。左右の眼が逆の場合も同じです。 ② 視力の良い方の眼が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のかた 例えば、右眼の視力が0.04の場合、左眼が手動弁、光覚弁、0の人が該当します。左右の眼が逆の場合も同じです。左右共に0.04の場合は1級ではなく2級に該当します。 2級に該当するのは以下の条件に該当するかたです。 ① 視力の良い方の眼の視力が0.05以上、0.07以下のかた 例えば、右眼の視力が0.07の場合、左目が0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、指数弁、手動弁、光覚弁、0の人が該当します。左右の眼が逆の場合も同じです。 ③ 視力の良い方の眼が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のかた 例えば、右眼の視力が0.08の場合、左眼が手動弁、光覚弁、0の人が該当します。左右の眼が逆の場合も同じです。左右共に0.08の場合は2級には該当しません。 2 視野障害と視野障害の検査方法について 視野障害の認定も障害者手帳の認定と方法は同じなのですが、自動視野計で測る場合と手動式のゴールドマン視野計で測る場合とで基準が異なります。自動視野計では2種類の検査をします。中心下方視野30度に重点を置きつつ、左右80度の範囲内の120か所の位置で測定をする両眼開放視認点数(両眼を開いた状態で測定)と、中心10度の範囲で68か所の位置で測定する両眼中心視認点数(片眼づつ、両眼について測定)の2つの検査です。 手動式のゴールドマン視野計では、Ⅰ/4(イチのヨン)と呼ばれる直径約0.56mmの小さくてやや明るい視標と、Ⅰ/2(イチのニ)と呼ばれる直径が同じでやや暗い2種類の視標で、中心から遠い部分でどこまで見えるかを測定します。2種類とも見えるかたの場合、地図の等高線のような円が二つ描かれることになります。中心視野を片眼ずつ測り、測った視野の中心から8方向(上、右上、右、右下、下、左下、左、左上)の視野角の合計で判定します。例えば、網膜色素変性で中心半径5度の範囲しか見えない人の場合、1方向の視野が5度で、それが8方向あるので中心視野角度の合計が40度という計算になります。Ⅰ/4の視標で測った視野を周辺視野角度、Ⅰ/2の視標で測った視野を中心視野角度と呼びます。 自動視野計による測定と手動式視野計による測定の内容を簡単に整理すると、自動視野計は日常生活を送る上で重要だと思われる範囲の120か所について見える場所と見えない場所を測り、その結果を点数として表します。さらに、視野の中心部分10度の範囲については68か所を測り点数化します。手動式視野計はやや明るい視標で見える中心から最も遠い場所と、暗い視標で見える中心から最も遠い場所を調べて2本の等高線を描き、その大きさ(広さ)で障害の程度が決められています。 それでは具体的に、自動視野計、手動式(ゴールドマン)視野計それぞれで計測した場合の障害等級についてご説明します。 3 視野障害の等級について (1) 自動視野計による測定の場合 1級に該当するのは以下のかたです。 両眼開放視認点数(両眼開放エスターマンテスト)が70点以下(120ヵ所のうち42%以上を喪失した状態)であり、かつ両眼視野視認点数(10-2プログラム)が20点以下(68ヵ所のうち71%以上を喪失した状態)のかた。求心性視野狭窄(トンネル状の視野狭窄)であれば、半径5度未満のかたが該当します。 2級に該当するのは以下のかたです。 両眼開放視認点数が1級と同様の70点以下であり、かつ両眼視野視認点数が40点以下(68ヵ所のうち41%以上を喪失した状態)のかた。求心性視野狭窄(トンネル状の視野狭窄)であれば、半径7度以下のかたが該当します。 (2) 手動式(ゴールドマン)視野計による測定の場合 1級に該当するのは以下のかたです。 両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中 心視野角度が28度以下のかた。求心性視野狭窄(トンネル状の視野狭窄)であれば、半径3.5度以下のかたが該当します。また、半径10度を超える中心暗点があるかたも該当します。 2級に該当するのは以下のかたです。 両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のかた。求心性視野狭窄(トンネル状の視野狭窄)であれば、半径7度以下のかたが該当します。 4 測定方法によって結果が違うことがある  専門家の研究結果によると、視野欠損の状態によって自動視野計では障害等級に該当するけれども、ゴールドマン視野計では該当しない場合や、障害の程度が軽い場合があったり、またその逆の場合もあることが分かっています。例えば、網膜色素変性のかたで、中心の視野は狭いけれども、輪状暗点の周りに視野が広い範囲にある場合は、自動視野計で測ると周囲の見える範囲も測りますが、ゴールドマン視野計の場合は中心部のみを測るので自動視野計よりも有利な判定がもらえる可能性があります。Ⅰ/4視標で測った時に中心10度にかかる大きな中心暗点がある場合も、ゴールドマン視野計では1級の判定になりますが、自動視野計は周辺視野も評価の対象になりますので、等級が下がるか該当しない可能性があるかもしれません。  逆に、円形や楕円形ではなく、広い範囲に変形して一続きになっている視野がある場合や、暗点や欠損部分が広い範囲に点在する場合はゴールドマン視野計での判定は難しく、自動視野計のかたが判定できる可能性が高いと思われます。  以上の理由から、典型的な症状のある網膜色素変性のかたや、黄斑変性やレーベル病等で大きな中心暗点のあるかたはゴールドマン視野計を備えている病院で検査を受けることが好ましく、緑内障等の視野欠損の状態が不規則なかたは自動視野計を備える病院で検査を受けることが好ましいと言えるでしょう。