日点自立支援室ニュースレター Vol.09 2023年冬号 1ページ目 ごあいさつ  2023年が始まりしばらく経ちましたが、皆さんどのようにお過ごしでしょうか。昨年はあらゆるものが値上げして(しかも何回も)、もう勘弁してくれという感じでしたが、今年も値上げは続くようですね。引き続き厳しい年になりそうです。  とまあ殆どの生活必需品の値段が上がっている中、唯一下がっているものがあります。皆さん何かご存じでしょうか。食べているかたは毎日食べているものです。答えはお米です。  円安やウクライナ情勢の影響を受けて、輸入に頼っている小麦類は相当値上がりしていますが、お米は国内でほぼ作っているので、為替や国際情勢に左右されないのが理由だそうです。今後は洋食スタイルを和食スタイルに変更すると節約になるかもしれませんね。  さて、今回のニュースレターでも様々なお役立ち情報を紹介します。どうぞお楽しみください。 (島田 記) 2-3ページ目 歩行訓練のすすめ② 白杖を歩く道具として使うこと  杖はもともと地面に対して垂直におろして、身体を支える道具として開発されたものでした。ですから、比較的短くて、安定感があるように太い形状をしています。見えない、見えにくい状態で歩くためには前方を探ることができるように細くて長い杖が必要だと考えられ、第二次世界大戦中にアメリカの整形外科医によって考案、開発され、ロングケーンと呼ばれるようになりました。現在使われている白杖はここに起源があります。肩幅よりも少しだけ広く杖を振りながら歩く基本技術の原型も、この時代に開発されたものです。  白杖の杖としての役割は、これから歩いて行く前方を探ることです。歩ける路面が続いているか?進路に障害物がないか?この2つのことを確認するのがロングケーンの役割であり機能であると言えます。この機能が確実に働くためにはなるべく繊細に路面に触れることが重要です。このことを実現するための操作技術はタッチテクニック、またはツーポイント・タッチテクニックと呼ばれ、左右に白杖を手首で低い弧を描くように振りながら、左右に2点で軽く路面をタッチしながら歩く技術です。  白杖を握った手首は臍の前方20cm前後に構え、手首、又は指関節のみで白杖を可能な限り地面すれすれに左右に振り、振り切った位置で左右の路面に軽く触れます。その際のふり幅は自分の肩よりも少し外に出るくらいの広さにします。 この時にもうひとつ重要なのは、振り出した右足の踵が地面に着く瞬間に白杖は左の路面に触れ、左足の踵が地面に着く瞬間に白杖は右の路面に触れるように振ることです。白杖の長さが丁度2歩先を探れる長さのものを使い、このタッチテクニックを維持しながら歩ければ、これから足を運ぶ2歩先には地面があることが保障され、また掃くように白杖を振りながら歩くことで、ちょっとした段差や電柱などの障害物がないことも同時に確認しながら歩くことが可能になります。 このタッチテクニックで歩くことは一見簡単に見えますが、白杖を構える位置、左右のふり幅、白杖を振る高さ、足と杖のリズムが狂わないように無意識で歩けるようになるまでにはそれなりの繰り返し練習が必用です。きちんとできているかどうか、歩行訓練士に観察してもらいながら練習をすることが上達の近道です。 前回の記事で「道なりにあるくこと」について触れました。道なりに歩くためにはいろいろな情報を使えるようになる必要があります。そのためには、このタッチテクニックで歩くことが無意識下でできるようになることが必要です。 (小林 記) 4ページ目 毎日の生活で見えない、見えにくいことで生じるお困りごとはありませんか? つぶやきコーナー その1. 視野が狭い私が友達とご飯に行った時のこと。 どうやら何かを渡されたらしいのです。気付かずにいたところ「シカトかと思った」と言われてしまった。 *笑いの力でポジティブに収めるとか、深刻になりすぎずに自分の見え方を伝えるきっかけにしてしまうとか。次からちょっと一声かけてもらえるような雰囲気に出来たら逆にきずなが生まれそうですが、勇気がいりますね… その2. 3本入りお酒のセットをもらった。 スマホのアプリが瓶のラベルをうまく読み取らない。 どう違うのか?その後人に聞いて分かったのは、純米・大吟醸・純米大吟醸の飲み比べセットだったこと。 *瓶の読み取りはなかなか手ごわいですね。アプリの進化に期待したいところですが、潔くビデオ通話やビーマイアイズ、最近話題のアイコサポートなど、人に見てもらって解決する方法に頭を切り替えるのもいいですね… みなさんだったらどうしますか? 工夫やアイデアがあればお知らせください。 仲間と共有して気付くことがあるかもしれませんね。 (つぶやき・コメントにご協力いただいたみなさま、 ありがとうございました。 和田 記) 5-6ページ目 エンジョイ!ブラインド・ロービジョンライフ -知っていますか?白杖の折り畳み方-  こんにちは。自立支援室の上田です。以前白杖の持ち手をグリップ用のカラフルなテープでデコレーションする話を書きましたが、今回も白杖愛を発揮して、杖のお話をさせていただきます。  私は、シンボルケーンと呼ばれる、細くてコンパクトに折りたためる種類の杖を使っていて、7段折とパイプの本数が他よりも多いものを使っています。  杖を畳む時、皆さんはどのようにしていますか?多くの折り畳み式白杖は、パイプの中にゴムが通っている構造です。杖を畳みやすくでき、ゴムの消耗も減らして、長持ちさせるための方法をご紹介します。  ポイントは真ん中から折ることです。7段折、5段折、4段折と、パイプの本数は様々ですが、最初は真ん中部分から降ります。およそ2分の1の長さにしていくようにして、折りたたんで行き、最後は、杖の上部分から出ているゴムの先端の輪っかに通して、パイプがばらけないようにします。  私は、杖を持ち始めたころは、杖の持ちて部分から1本ずつ順番に、パイプを抜いて折りたたんでいたのですが、どうしても最後の方でゴムが伸びきってしまい、怪力で無理やり引き抜いたりしていました。  真ん中から折っていけば、ゴムへの力のかかり方が均等になって負担も少なく、自分も疲れません。書いてみると単純で、無意識にそうしている方もいらっしゃるのではないかと思います。  ちなみに、ゴムへの負担を減らすポイントとして、杖は折りたたまず伸ばした状態で保管するのがよいそうです。畳んでいると、ゴムに力がかかり続けることになるので、帰宅したら、傘立てなどに立てておくとよいようです。普段は使わないスペアの杖なども、伸ばした状態で保管するなど、一工夫で、使用期間を延ばすことができそうです。  それでもやはり消耗品ですので、ゴムの緩さを感じたり、切れてしまったときは、交換なさってお使いください。  図書館1階のわくわく用具ショップでは、ゴムはもちろん、石突、パイプ、反射テープの交換など、様々な杖の修理をしております。来館でも郵送でも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。 (上田 記) 7-8ページ目 Googleマップの便利な使い方 iPhoneユーザーは標準でインストールされているマップアプリも便利ですが、今回はGoogleマップについて基本機能6つをご紹介します。 1.行きたい場所への経路検索とナビ 好きなスタート地点、目的地を設定してさまざまな経路を表示することができる。自宅にいながら、たとえば国内だけなく海外旅行でどのように移動するか事前把握ができる。 「徒歩」「公共交通機関」「自動車」「自転車」「タクシー」から使用手段を選択でき、経路だけでなく移動時間や何時発どこ行きの電車にどのホームの何番ドアから乗ると良いかなどの詳しい乗換案内やタクシー料金もわかる。 任意の出発時刻または到着時刻、終電時刻での検索ができるので、何時に自宅を出れば丁度いいかも調べられる。 歩く道順を事前に確認できるので歩く方向や曲がるポイント等を予習しておくことで当日落ち着いて目的地まで歩ける。 2.行きたい場所へのナビ 現在地から目的地まで音声案内をしてくれる。 経由地の追加もできるので目的地に行く途中で買い物や食事をするお店を通る経路案内が可能。 3.周辺スポット検索 「カフェを探したい」と思った場合、「カフェ」と検索するだけで、近隣のカフェが自動的に表示され、お店の評価もわかる。「トイレ」と検索すれば最寄りのトイレが表示されるので緊急時にもおすすめ。 4.マイプレイス登録 頻繁に行くお店や、いつか行ってみたいお店をリストに登録しておけるので便利。場所を忘れてしまったお店でも、検索する手間が省ける。 5.現在地の共有 旅行先で同行者と一時的に別行動をする場合やはぐれてしまった場合などにお互いの動きが分かるので便利。 6.ストリートビュー 地図上の場所の実際の風景を見られるため、自宅にいながら世界中の名所を画面を通して見ることができ、旅行気分を味わえる。地図だけでは分かりづらい気になるスポットの周辺がどんな雰囲気なのかを知るのに便利。 GoogleマップはSiriやGoogleアシスタントなどで、ナビやスポット検索が音声で可能です。 私は最近、Googleマップで「史跡」と検索すると近所の史跡一覧が表示できることを知り、あちこち史跡を調べるのにハマっています。ちなみに日点の近所には、「志賀直哉旧宅跡」「岩倉具視旧宅」などがあります。皆さんも自宅付近や出先で検索して史跡巡りしてみても面白いと思います。 (清水 記) 終わり