日点自立支援室ニュースレター Vol. 22 2026年春号 目次 ごあいさつ ・・・ 2 今、読みたい本 ・・・ 4 エンジョイ!ブラインド・ロービジョンライフ ・・・ 6 国会議事堂見学レク記録 ・・・ 9 男の日傘 ・・・ 12 Androidスマホでもデイジー再生ができるようになった? ・・・ 14 --- ごあいさつ(2~3ページ) 新年度を迎え、当館では七人の新人職員を迎えました。私が入職したのは一九九七年のこと。当時はまだ自立支援室はなく、三十年後の今、自分がこの仕事に携わっているとは夢にも思いませんでした。 入職当時の館長であり、後に理事長と会長を歴任した田中徹二が、去る3月10日、91歳にて永眠いたしました。生前の田中は、読書や囲碁、旅行を愉しみ、お酒を片手に人と語らう時間をこよなく愛する人でした。 私が新人職員だった頃、関連施設の方々や視覚障害のご友人との食事会によく誘ってくれました。当時は同じ沿線に住んでいたこともあり、休日も芝居やコンサート、障害者関連のイベントにお供することがありました。これらの経験は、若かった私の好奇心を満たし、見聞を大きく広げてくれました。仕事の面では厳しく、多くのダメ出しや注意を受けました。田中へ送った年賀状の点字のマスあけを正されたことも、懐かしい思い出です。 自立支援室への異動が決まった折には、「自立(支援室)をよろしく頼む」と私を励まし、その後も「自立の様子はどう?」としばしば声をかけてくれました。東京都心身障害者福祉センターでの支援員を前職とし、自らもスマホ訓練を受けた卒業生であった田中は、常に自立支援室の状況を心に掛けていました。今もきっと、天国から訓練生の皆さんにエールを送り続けていることでしょう。 日々、訓練生や卒業生の方々の笑顔や芯の強さに触れるたび、自立支援室の起ち上げを決断した田中への感謝が込み上げます。「読書の喜びだけでなく、自立するための生活技術と心理的な安定を提供できるように」という田中の遺志をしっかりと受け継ぎ、自立支援室が必要な方々に寄り添い、頼れる存在であり続けるよう、スタッフと共に歩んでまいります。(市川 記) --- 今、読みたい本(4~5ページ) 今年はワールドカップ開催の年。ブラインドサッカーにはワールドカップはありませんが、4月にアジア選手権が開催されました。日本は女子が優勝、男子は中国に敗れ、惜しくも準優勝でした。ブラインドサッカーに興味のないかたもきっと楽しめるお薦めの2タイトルをご紹介します。ご利用にはサピエ図書館からのダウンロードと図書館から借りる方法があります。利用方法についてご不明な点がありましたら、担当の支援員にお声掛けください。 『ブラインドから君の歌が聞こえる』 サミュエル・サトシ著 2020年5月発行 録音図書:9時間41分 テキストデイジー:356ページ 点字図書:5巻 夢に破れ、仲間とも決別し、病によって失明した一人の青年。彼は幼馴染から紹介されたブラインドサッカーに少しずつのめり込み、絶望の淵から新たな「自分の居場所」を見出していく。チームメイトとの切磋琢磨や手に汗握る試合展開、外国籍のライバルの想像を絶する苦労、幼馴染との恋模様等々、読み応えは十分。著者の緻密な取材が伺える視覚障害者のリアルな描写も、物語に深い説得力と面白さを与えている。 『前だけを見る力-失明危機に陥った僕が世界一に挑む理由-』 松本光平著 2022年1月発行 録音図書:4時間27分 点字図書:3巻 2019年、FIFAクラブワールドカップの舞台に立ったサッカー選手、松本光平。確約のないまま単身海外へ渡り契約を勝ち取り、フィジーやニュージーランドといった地でキャリアを築くなど、その歩みは武勇伝に事欠かない。しかし、ニュージーランドでのトレーニング中に起きた事故で、失明の危機に直面する。それでも彼は「再びあの舞台に立つ」という誓いを胸に、絶望の淵から再起へと動き出す。一般的な「困難」を、超ポジティブな思考と鋼のメンタリティで凌駕してきた彼の歩み。そのルーツと、不屈の決意をここに語り尽くす。(市川 記) --- エンジョイ!ブラインド・ロービジョンライフ 番外編-私的家電選びのポイント-(6~8ページ) 春を通り越して初夏のような気温の日もありますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。自立支援室の池松です。この季節は新生活シーズンということで、家電の買い替えや新規購入が増える時期だそうです。私も先日家電量販店に行ったところ、平日にもかかわらず店内は混雑していました。そこで今回は、視覚障害がある視点から、私が家電を選ぶ際に注目しているポイントについてご紹介したいと思います。なお今回は、家電の機能ではなく操作性に絞って取り上げます。 <ポイント1: 音声での操作案内があるか> 数はそれほど多くありませんが、一部の家電製品には操作をするとその内容を音声でガイドしてくれるものがあります。例えば、ダイキンやゼネラル製のエアコンの一部機種には、設定温度や運転モード(冷房・暖房)などを音声で知らせてくれる機能が組み込まれています。他にも、イオンから発売されている炊飯器には、メニューの操作や炊き上がりまでの時間などを読み上げてくれる機種があります。 以前は電子レンジや卓上型のIHクッキングヒーターにも音声ガイド付きの製品がありましたが、残念ながら現在は販売終了しています。ただ、家電は次々に新製品が投入されるため、今後の動向に期待したいです。 <ポイント2: 操作音が分かりやすいか> ボタンを押したときに鳴る「ピッ」という操作音も大事な手掛かりになります。例えば、洗濯機の予約タイマーのように、ボタンを押した回数で時間を設定するような場合、起点となる0の項目では「ピピッ」と他の項目とは異なる音が鳴る機種があります。こういったものであれば、画面が見えにくくても起点の音からボタンを押した回数を頼りに操作することもできます。また、日立製の洗濯機の一部には、ボタンを押すごとに操作音の音階が変わるため、音の高さを頼りにタイマー設定やコース選びなどができるようになっているものもあります。 <ポイント3: ボタンの形や配置が分かりやすいか> ボタンやスイッチ類にしっかりとした凹凸があり、触れてわかりやすいかどうかも重要です。家電によっては電源ボタンやスタートボタンなど大事なボタンを区別しやすいよう、他より大きかったり突起がつけられていたりするものもあります。 また、洗濯機や炊飯器を中心にボタンの下や横に点字が表記されているものもあり、点字を読むことができる場合は大事な手掛かりになります。一方で、最近はタッチパネルや凹凸が全くないボタンなど、目で見ないと操作しづらい機器も増えている印象です。また、電子レンジや洗濯機の一部には、画面を見ながらダイヤルを回すことで時間やモードなどを設定するものもありますが、状況によってダイヤルを回す長さなどが異なるので音や指先の感覚だけでの操作は難しいかと思われます。ただ、ダイヤルに関してはシンプルなオーブントースターや電子レンジなど、ダイヤルの向きを覚えることで大まかな時間設定や強さなどを調整できるものもあります。 その他、最近では話しかけるだけで操作できたり、スマートフォンのアプリから細かな設定を調整できるなど、ボタンや画面が見えにくくてもある程度の機能が使えるものも増えてきています。家電を選ぶポイントはさまざまですので、「私はここを重視しています!」といった情報もお待ちしております。(池松 記) --- 国会議事堂見学レク記録(9~11ページ) お出かけ日和の4月18日土曜日、レクリエーション初の企画として、総勢15名が国会議事堂見学ツアーに参加してきました。 図書館出発後、地下鉄高田馬場駅では、障害者手帳の第1種と第2種の意味、自動改札を切符で通過する時のポイント、障害者用SuicaやPASMOについてなど、早速に情報交換から始まりました。国会議事堂前駅では今回の見学実施を橋渡しをしてくださった議員秘書の方と合流、見学者入口ではにってん一同15名を専属に案内くださる衛視が出迎えてくださいました。 まず、ひとりずつ議事堂の模型に触れながら建物のイメージを膨らませました。正面玄関から向かって、真ん中の階段状の屋根の中央塔の左が衆議院、右が参議院。今回は、衆議院の見学です。建物内は、エレベーターにもゴールドや彫刻の装飾、合計4キロにわたる赤じゅうたんの廊下には、訓練室のドアの1.5倍の高さにアメリカ製のノブのついた扉が左右に並び、各政党の看板も掲げられていました。 天皇陛下が開会式の当日にお入りになる「御休所(ごきゅうしょ)」は、総ひのき造りの本漆塗りの部屋で、真っ赤な椅子1脚とテーブルが置かれていました。御休所前の廊下は、陛下の影を踏まぬようにと、天窓と間接照明の明かりのみとのことでした。 次に向かったのは、本会議場. 高い天井に敷き詰められた赤じゅうたん、中央の高い位置に議長席、その左側には内閣総理大臣席、そして扇型に配置された各議員席がありました。私たちは、議場を見下ろすコの字に囲まれた一角の公務員席に座って、これらの説明を聞きました。着席した建築当時からの木製の長椅子は、膝が前列の背に着くほど椅子の間隔は狭く、建築当時の人々の体格が想像されました。なお、この日議場には、一般の見学者も多数来ていました。 見学コースの最後は、中央塔の真下にある広間です。4階分の吹き抜けにはステンドグラスや彫刻、さらに広間を囲むように、大隈重信、伊藤博文、板垣退助の銅像がありました。歴史に思いを馳せ、高い台座に手を伸ばしやっと届いた先人達の靴をなでた感触もこの日の記念となりました。 見学に要した時間は約1時間半、予想以上にたくさん歩きましたが、日本の技術を総合した芸術や触察した化石など、参加者にとって充実した大人の社会科見学となりました。 自立支援室では、今年度も職員が趣向を凝らして、様々なテーマでレクリエーションを実施してまいります。ご興味があり、ご都合のいい時に、ぜひご参加ください。お待ちしております。(加藤 記) --- 男の日傘(12~13ページ) このニュースレターの読者の男性で、日傘をお使いのかたはいらっしゃるでしょうか?日傘といえばひと昔前までは男性が使っている場面にはとんとお目にかかりませんでしたが、ここ数年、特に酷暑の真夏日にはだいぶ目に付くようになりました。 実は私、およそ20年来日傘を愛用しております。使うようになったのは、前職の時に梅雨が明けきらない季節の京都を訪れた時の思いがけない体験がきっかけでした。とある施設へ向かい始めた朝は雨が降っていましたが、バスで移動している間に雨が上がり、雲が切れて、6月とは思えない強い日差しが降り注ぎました。夕方の天気予報で知ったことですが、京都市内は気温が34度まで上がり、暑さにまだ慣れていない私の身体はすぐに悲鳴をあげたのでした。 約束の時間があったので途中で休むわけにもいかず、苦し紛れに携行していた折りたたみの雨傘をさしました。そうしたら何と、これが信じられないほどに快適だったのです。その傘は晴雨兼用のものでもなかったのですが、黒い肉厚の生地の雨傘でこれほど遮熱ができることに感動し、その後、京都市内滞在中の日中は雨傘をさし続けて過ごしました。 7月も中旬を過ぎ、梅雨が明けた頃に今度は福岡に行くことになりました。福岡の天神にもとても強い日差しが注いでいました。その日は約束の時間まで間があったので、ふと思い立ち天神のデパートの傘売り場へ行ってみました。そこで店員さんに見せていただいた日傘がとてもコンパクトで軽くて、少しだけ高価でしたが「仕事には必須!」と思い、思い切って購入してしまいました。 その日傘は本当に軽くて、傘を持つ手が疲れることがありませんでした。この傘を入手して以来、私はずっと日傘を愛用しています。前職では歩行訓練士の養成の仕事をしていましたが、酷暑の中、学生が歩行訓練の演習をしている最中も、今の職場の歩行訓練で、利用者の方が猛暑の中を一生懸命に歩かれている最中も、私は後ろを日傘をさしながら歩いています。ただし、利用者のかたの安全確保にはしっかり気を配っていますのでご安心を! 完全遮光の日傘は高価ですが、遮熱効果は抜群です。とは言え、最近の晴雨兼用の日傘でもかなり質が良くなっていますので、夏の外出に悩まれていらっしゃる方はぜひお試しになることをお勧めします。まぶしさ対策にも効果抜群です。(小林 記) --- Androidスマホでもデイジー再生ができるようになった? -Android版デイジー再生アプリ「Dolphin EasyReader」-(14~16ページ) 2026年4月現在、Androidスマホでデイジー図書を再生できる日本版アプリがない(?)ため、デイジー図書をスマホで読みたいAndroidユーザーには専用機購入やiPhoneへの機種変更を案内しています。 そのような中、海外製の「Dolphin EasyReader(無料)」(以下ドルフィンリーダー)でサピエ図書館からダウンロードしたデイジー図書を再生できるようになっていることを見つけました。以前ドルフィンリーダーを試した時は、画面表示が日本語に対応しておらず、デイジー図書の読み込みもやり方が間違っているのかうまくできなかったのですが、改良が進んだようで、ページ移動や再生速度変更もTalk Back(画面読み上げ機能)を使ってできました。なお、テストで使用したAndroidスマホはGoogle Pixel 8a(Androidバージョン16)です。異なる機種やバージョンでは挙動が異なる可能性があることご了承下さい。 1. ドルフィンリーダーのメリットと留意点 メリット * Talk Backでの操作を前提に設計されており、ボタンの読み上げや移動が比較的正確です。(※ただし、環境により動作が不安定になる場合があります) * 表示のカスタマイズ: テキストデイジーの文字サイズや配色を、見え方に合わせて細かく調整できます。 留意点 * 現在、ドルフィンリーダーのAndroid版はサピエ図書館と連携していないため、あらかじめブラウザでサピエを開いてデイジー図書をダウンロードしておく必要があります。 * 本棚でのフォルダ分けができず、大量の図書を整理するには不向きな面があります。 * 設定画面やメニュー表示が一部英語表示です。 2. 利用手順 1.アプリをPlayストアからインストール(無料)する。ドルフィンアカウントなしで利用可能ですが、機種変更時に本棚の状態や読書設定を引き継ぎたい場合はアカウントが必要です。アカウント作成は無料で、Googleアカウント等を利用してのサインインも可能です。 2.取り込み: ブラウザでサピエからZIP形式のデータをダウンロードし、アプリの「インポート」メニュー(画面右上のボタン)から選択すると読み込みます。 ※ファイル管理アプリでダウンロードしたZipファイルを選ぶとどのアプリで実行するか聞かれるので、「Dolphin EasyReader」を選択してインポートすることも可能です。 3.再生と調整: 本棚から図書を選び、画面下の再生ボタンで開始します。 4.スピーカーボタンから速度調整、「A」のアイコンから文字表示を自分好みに変更が可能です。また、しおり作成や書誌情報を確認することもできます。 スマホでデイジー図書を聴きたいAndroidユーザーは、一度ドルフィンリーダーを体験してみて下さい。(清水 記)