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第20回「本間一夫文化賞」受賞者を発表

2023年10月

第20回「本間一夫文化賞」受賞者 武久源造氏

武久源造氏氏写真 社会福祉法人日本点字図書館(本部:東京都新宿区、理事長:長岡英司、以下:日本点字図書館)は、視覚障害者の文化向上に貢献した個人・団体に贈る本間一夫文化賞の選考委員会(委員長:社会福祉法人恩賜財団済生会 炭谷茂 理事長)を9月14日に行ない、第20回受賞者として、武久源造(たけひさ・げんぞう)氏を決定しました。

武久源造氏は、1957年愛媛県松山市生まれ。1984年東京藝術大学大学院音楽研究科修了の鍵盤楽器奏者、作曲家、指揮者、研究者です。チェンバロ、ピアノ、オルガンを中心に各種鍵盤楽器を駆使した国内外での多数の演奏活動だけでなく、先鋭的なバッハ研究者としても活躍されています。

武久氏は全盲の両親の間に生まれ、1歳1か月のときに病気で失明されました。愛媛県立松山盲学校の音楽教師であった父、博文氏の影響で物心がつく前に音楽を始められました。高校入学(筑波大学附属盲学校普通科)を機に単身上京され、1977年(19歳)、東京藝術大学音楽学部に入学、1984年同大学大学院音楽研究科を修了されました。武久氏の受験当時は、東京近郊で全盲者に門戸を開いている大学は、東大、一橋大、東工大、東京外大、筑波大、早大、立教大、東京女子大、和光大など、十数校のみでした。東京藝術大学もピアノ科、オルガン科は門戸を閉ざしたままで、鍵盤の学生としては受験を拒まれたため、楽理科を受け合格されました。

武久氏が新たな楽曲に取り組む際には、点字の楽譜を用います。点字楽譜は音符ひとつひとつについて、高さ、長さ、強弱を記号化し、点の組み合わせで表します。点訳されていない楽曲については、自ら点字楽譜をつくられます。墨字(点字に対し、普通に書いたり印刷したりした文字を墨字と呼びます)の楽譜をもとに誰かに演奏してもらい、それを聴いて独自の点字楽譜に訳すのです。

こだわりは楽譜だけに留まりません。楽器製作についても造詣が深く、自ら手作業で工具を使い繊細な鍵盤楽器の調整、および、部品の製作を行っておられます。なかでも、バッハが弾いたジルバーマン・ピアノ(世界でも数台の復元品)の、原典に基づく改良・研究では、バッハが追い求めた最高の音色の現代における再現あるいは、単なる再現に留まらない新たなる創造を目指しておられます。

これまでに発売されたCDは プロデュースも含めると40作品以上にのぼります。最新CDアルバム「バッハの錬金術 Vol.3 イギリス組曲(全曲)」(2022年12月発売)は、世界で初めて、同曲のジルバーマン・ピアノによる演奏を収録したもので、2023年1月以降、専門誌各所で絶賛、好評をもって迎えられています。(「音楽現代」2023年3月号 推薦盤に選出、「レコード芸術」2023年7月号 特選盤に選出、ほか)

また、ミュージックビデオ「ジルバーマン・ピアノによる即興付きバッハ作曲シンフォニア6番 (Live at 武久源造スタジオ, 2023) 」(2023年2月14日配信)は、iTunes Store (日本) の "インストゥルメンタル トップミュージックビデオ" で1位を記録 (2023年02月22日)しました。

ソロでの演奏活動以外にも、器楽・声楽アンサンブルの結成、指揮、編曲、作曲、多数のコンクールでの審査委員、多数の放送出演などを務めてこられました。このような、日本を代表する音楽家の一人としての精力的な活動が、視覚障害者の文化の向上に大きく寄与していることは高く評価でき、本年度の本間一夫文化賞に最も相応しいとして、選考委員の総意で受賞が決まりました。



選考委員



協賛



後援




日本点字図書館について

社会福祉法人 日本点字図書館
ホームページ : https://www.nittento.or.jp/
1940年本間一夫により創設。点字図書・音声図書の製作・貸し出し、視覚障害者用具の販売等の事業、自立訓練(機能訓練)事業および指定特定相談支援事業を行なう日本最大の視覚障害者情報提供施設。視覚障害者情報総合ネットワーク 「サピエ」の管理も行なっている。



本件に関するお問い合わせ

社会福祉法人 日本点字図書館 総務部 広報担当 澤村・石井
電話:03‐3209‐0241/FAX:03‐3204‐5641
Eメール:nitten@nittento.or.jp



PDF版

PDF版のプレスリリースは下記リンク先をご覧ください。
第20回「本間一夫文化賞」受賞者を発表



これまでの受賞者

第1回から前回までの受賞者については、下記のページをご覧ください。
本間一夫文化賞




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