ふれる博物館
第5回企画展 さわって確認!“働くクルマ”の博覧会 協力:株式会社タカラトミー

本企画展は、2020年3月14日(土曜日)に終了いたしました。
多数のご来場に感謝いたします。

2019年10月23日(水曜日)から
2020年3月14日(土曜日)まで

 ※12月27日から2020年1月7日までは、特別休館となります。
 ※11月10日(日曜日)は、日本点字図書館オープンオフィス開催に合わせて、特別開館いたします。

共催:手と目でみる教材ライブラリー
協力:株式会社タカラトミー

ブルドーザー、クレーン車、パワーショベル…。
2020年に向けて各地の建設現場で活躍する“働くクルマ”たち。
そのメカニカルな姿にふれてみよう。

開催にあたって

2020年のオリンピック、パラリンピックを控え、各地で工事が行われています。工事の音は聞こえても、形を想像するのはなかなか困難です。ブルドーザー、クレーン車など、各種「働くクルマ」の模型を揃え、その用途・機能による形の違いにふれていただく企画です。多くのかたのご来場をお待ちいたします。

フランスにあるブライユの胸像


1. 工事現場で働くクルマ

1 クレーン車

クレーン車
模型提供:手と目でみる教材ライブラリー

クレーンとは英語で鳥のツルのこと。長くのびたブームの動きがツルの首の動きに似ていることからこう呼ばれる。クレーン車は重い荷物をつりさげて運ぶ。車体の上半分が旋回するようになっているものが多く、そこにはブームと呼ばれる長い腕がついている。ブームの先からは鋼鉄のワイヤーがのびていて、先端には荷物をつり上げるフック(つりカギ)がついている。ワイヤーを車体部分で巻き取ることで荷物がつり上がり、ブームが旋回して別の場所へ運ぶ。ブームは伸び縮みするため、荷物を高い場所へ運ぶこともできる。ブームの先端に重いものをつり下げても車体が倒れにくくするため、アウトリガーという足を出して踏ん張るしくみも持っている。

動力源
ディーゼルエンジンが主流
走行装置
キャタピラやタイヤ
主な動き
ブームの先につけたフックで重いものをつり上げる。
特色
重いものを滑車のしくみを利用してつり上げる。つり上げ能力は、0.5tくらいの小型のものから、1,000tを超える大型のものまで多種にわたる。



2 コンクリートポンプ車

コンクリートポンプ車
模型提供:手と目でみる教材ライブラリー

ミキサー車から撹拌されたコンクリートを受けて、すばやく高所の現場まで圧送する専用の車両がコンクリートポンプ車。巨大な注射器のようなしくみを持つパイプが伸び、パイプから圧力で高いところまでコンクリートを送る。これをピストン式といい、「ピストンクリート」という製品名で呼ばれることもある。柔軟なチューブに入れて歯磨き粉や絵具のように絞り出す「スクィーズ式」という圧送もある。

動力源
ディーゼルエンジン
走行装置
道路を走るためトラックと同様のタイヤ
主な動き
コンクリートを高いところまで送る。
特色
コンクリートを高いところの作業現場に送る。コンクリートは圧力をかけられて、ブームについたパイプの中を進んで上に運ばれる。圧力をかける方式はピストン式とチューブを利用したスクィーズ式の2種類がある。この動力にはエンジンで作り出した油圧を用いる。



3 コンクリートミキサー車

コンクリートミキサー車
【コマツPC 600LC】
車体サイズ:長さ 12.3m
高さ 4.3m

コンクリートは、水、砂、砂利などを混ぜる割合が細かく指定される。しかも、これらが均等に混ざっていなければならない。さらに、コンクリートは練り混ぜ開始から90分以内につかわなければならないため、コンクリートミキサー車が活躍する。エンジンの力で筒状のミキサーを回し、その中でコンクリートを常に混ぜて運ぶ。ミキサーの中には螺旋状の装置があり、回転を逆にするとコンクリートが排出される。

動力源
ディーゼルエンジンが主流。ディーゼルハイブリッドのものもある
走行装置
キャタピラやタイヤ
主な動き
アームとその先についたバスケットを操作して作業する。
特色
すくった土砂をダンプカーに移す際、ブームとアームにそれぞれついているシリンダーが腕の腱に似た働きをする。シリンダーの伸び縮みで、バケットをダンプ荷台の真上に定め一挙に土を落とす一連の動きが生まれる。



4 パワーショベル

パワーショベル
【コマツPC 600LC】
車体サイズ:長さ 12.3m
高さ 4.3m

人間の力をはるかに超えた大きな力で穴を掘り土砂を運ぶ。パワーショベルの動きは、腕と手の連動に似ている。車体から延びる長いアームを腕のように上下左右に動かして、その先にあるバケットを目標の位置にもっていく。バケットを手のように動かして土に穴を掘ったり、土をすくったり、土を盛ったりする。また、土や砂や砂利をトラックに積み込む作業もする。

動力源
ディーゼルエンジンが主流。ディーゼルハイブリッドのものもある。
走行装置
キャタピラやタイヤ
主な動き
アームとその先についたバスケットを操作して作業する。
特色
すくった土砂をダンプカーに移す際、ブームとアームにそれぞれついているシリンダーが腕の腱に似た働きをする。シリンダーの伸び縮みで、バケットをダンプ荷台の真上に定め一挙に土を落とす一連の動きが生まれる。



5 ブーム式高所作業車

ブーム式高所作業車
模型提供:手と目で見るライブラリー

高いところで作業をするための専用車両。ブーム式高所作業車は回転する台座に伸び縮みするブームがあり、クレーン車のしくみと似ている。ブームの先に人が乗るバスケットがある。建物や電柱の上での工事、道路信号の整備、高いところからの撮影など、好きな高さと位置で作業ができる。

動力源
ディーゼルエンジンが主流。モーターもある。
走行装置
主にタイヤが使われる
主な動き
高いところで作業をしやすくする。
特色
ブームの先に人が乗る部分がある。ここに人が乗ることで、高いところでの作業をしやすくしている。ブームはクレーンと同様に、旋回、伸縮できるものもある。サイズは様々で、モーターで自走する小型のものもある。



6 ブルドーザー

ブルドーザー
模型提供:手と目で見るライブラリー

ブルドーザーは、ブル(雄牛)のように力強く物を押して、前に進むところから、こう呼ばれている。力強いエンジンと重めの車体をもち、しっかり地面に踏ん張って前進する。車体の前についたブレード(排土板)で土・砂・砂利・岩石・鉱石・雪などをどんどん前に押しやりながら運ぶ。柔らかい路面でもしっかりと地面をとらえるように、キャタピラを利用したものが多い。

動力源
ディーゼルエンジンが主流
走行装置
主にキャタピラが使われる
主な動き
ブレードで土などを押して、運ぶ。
特色
車体前面にブレードとよばれる排土板がある。これで土などを押して運んだり、地面をならしたりする。強い力でふんばり、どんどん前進する。ふんばる力を出すために、車体は重くできている。



7 ホイールローダー

ホイールローダー
【キャタピラージャパン992k】
車体サイズ:高さ 5.7m
長さ 15.8m
ホイールサイズ:直径 2.7m
幅 1.1m

ブルドーザーや油圧ショベルが掘り起こした土や砂を車体の前についたバケットですくい上げ、ダンプカーなどに運び入れる。4輪のホイール(タイヤ)を持ち、デコボコの激しい道でも車体を力強く前進させることができる。

動力源
ディーゼルエンジン
走行装置
ホイール(車輪)とよばれるタイヤ
主な動き
工事現場での土砂の移動。
特色
ブルドーザーのブレードと違い、バケットの接地面には鋭い歯がついている。歯の形状が土砂を効率的にすくい上げる働きをする。



8 ロードローラー

ロードローラー
模型提供:手と目で見るライブラリー

ロードローラーは、ならした道路の基礎部分を踏み固める。前後に鉄製のローラーをつけて、ゆっくり動きながら地面をしっかりと踏み仕上げていく。そのため、ロードローラーは車体本体もローラーも重くつくられている。踏み固める地面の固さを調節できるように、車体の重さを変えられるものが多い。鉄製の重りを積んだり、大きなタンクに水をたくさん積む方法もある。。鉄製ローラーのほかに、ゴム製タイヤを使った「タイヤローラー」もある。タイヤ空気圧の調整ができるため、土質に合わせた作業ができる。

動力源
ディーゼルエンジンが主流
走行装置
筒のような形の鉄製ローラー
主な動き
地面を平らにして、踏み固める。
特色
大きく重い鉄製のローラーや、大型のタイヤで、地面や舗装直後の路面を平らに踏み固めるための車両。重さが重要で、8tから14tくらいの車重のものが多い。さらに、鉄のバラスト(重り)や水を積んで、車重を増やすこともある。



9 フォークリフト

フォークリフト
模型提供:手と目で見るライブラリー

車体前方にフォーク(つめ)を装備しており、その「つめ」を荷物の下部やパレットに差し込み、油圧を利用して持ち上げて運搬する。フォークを上昇させると共にマスト(支柱)も伸びて上昇し、車体の高さよりも高い場所の荷物も扱うことができる。一般的に後輪操舵であるため、ハンドルの旋回方向と車両の挙動(内輪差、外輪差)が普通の自動車とは逆になる。小回りが効く。ブレーキ時の慣性によって荷物が前方へ転落する(あるいは車両ごと転倒する)事故を防ぐため、荷役積載時は前進走行よりも後退走行のほうが安全である。

動力源
バッテリー式・ガソリンエンジン式・ディーゼルエンジン式の3つが多い。近年のエコ事情により、「燃料電池式」で動くフォークリフトも国内外で発売されつつある。
特色
比較的重い荷物を持ち上げた状態でも走行が可能なため、大量の重い荷物を移動させる際などに大幅な作業時間の短縮が見込める。また、マスト(支柱)を伸ばすとフォークが上昇するため、車体の高さよりも高い場所に貨物を移動することも可能。


10 ダンプトラック

ダンプトラック
模型提供:手と目で見るライブラリー

土、砂利、鉱石など、さまざまな荷物を荷台に乗せて走り、荷台を傾けて積み荷を降ろす。鉱山などで働く巨大なものは、タイヤだけで直径4mもあり、車高は7m。運転席には、車体前面にある階段を使って登る。積み荷の積載量は、最大327tにもなる。それでも、出力2,610kW(3,500馬力)のディーゼルエンジンで発電した電力で、モーターを駆動。鉱山などの過酷な現場でも力強く走ることができる。

動力源
ディーゼルエンジンが主流
走行装置
タイヤで走る。線路を走る車輪をもつものもある
主な動き
荷台に土砂などを載せて運ぶ。



2. 消防の現場で働くクルマ

11 消防はしご車

消防はしご車
模型提供:手と目で見るライブラリー

ビルなど高いところでの消火活動や、救助に活躍する。車体上部に10mから50mのはしごを装着している。はしごは油圧で動く動滑車とワイヤーで伸縮するようにできている。はしごの旋回部分は、ジャイロという装置で回転する独楽がしっかり立つしくみを利用し、常に水平と垂直になるよう保たれる。さらに、車体を安定させるためにアウトリガーという脚を出してふんばるようにもしている。旋回は、「パワーテイクオフ」という仕組みを使ってエンジンから機械装置で動力を取り出し動く。大部分のはしご車は、ディーゼルエンジンで走り、油圧装置も動かしている。

動力源
ディーゼルエンジン
走行装置
道路を走るため、トラックと同様のタイヤ
主な動き
はしごで高所での消火や救助する。
特色
搭載したはしごを伸ばして、高いところでの火災や救助現場で活躍する。はしごのの先端には人が乗るバスケットがあり、そこには放水装置なども備えられている。はしごの上下や伸縮は油圧を利用している。はしごの長さによって車体のサイズが異なってくる。



12 消防ポンプ車

消防ポンプ車
【CD-1(シーディーワン)型】
車体サイズ:長さ 6.6m
高さ 2.8m

火事が起きたときに真っ先に現場に駆けつけ、水で消火をする。車体の側面には給水管(ホース)とポンプ操作部がついており、隊員が消火栓へホースをつなぎ水量などを操作し放水する。運転席上部にはサイレンやスピーカー、点滅して光る赤色灯、夜間用の照明灯などがついている。その操作は消防はしご車と同様に運転席で行う。運転席には無線機も備えられ、本部や他の消防車と連絡をとるのに使われる。

動力源
ディーゼルエンジン
走行装置
道路を走るため、トラックと同様のタイヤ
主な動き
消火活動のための放水。
特色
車体には、圧力をかけ放水するポンプを搭載している。消火栓からつないだ水を出火点に向けホースで放つ。後部にはホースカーが積まれており、出火場所が狭く車体が近づけない場合に人力で搬送しホースを延ばす。

3. クルマの違いによるタイヤの大きさ比較展示

普通のトラックと建設・鉱山車両用のタイヤは大きさもずいぶん違います。高さ約7mに及ぶダンプトラックのタイヤは直径約4m。日本点字図書館が所有する2トントラックのタイヤ直径約70cmと比べてみましょう。

タイヤの大きさ比較展示
資料提供:株式会社ブリヂストン


参考資料:『科学の目で見る特殊車両』 小倉茂徳著 誠文堂新光社


企画展リーフレット

チラシ画像
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