トップページへ

ここから本文

第18回「本間一夫文化賞」受賞者を発表

2021年10月

第18回「本間一夫文化賞」受賞者 桜井記念 視覚障がい者のための手でみる博物館様

現館長 川又若菜氏写真 博物館の様子の写真 社会福祉法人日本点字図書館(本部:東京都新宿区、理事長:田中徹二、以下:日本点字図書館)は、視覚障害者の文化向上に貢献した個人・団体に贈る本間一夫文化賞の選考委員会(委員長:社会福祉法人恩賜財団済生会 炭谷茂 理事長)を9月17日に行ない、第18回受賞者を、「桜井記念 視覚障がい者のための手でみる博物館」様に決定しました。

「桜井記念 視覚障がい者のための手でみる博物館」は、岩手県盛岡市にあり、今年で創立から40年になります。民家の2階(約170平方メートルの広さ)に剥製や模型など約3,000点の資料が展示されており、年間来館者数は、年400人ほどです。(現在はコロナ禍のため制限付きで開館しています。)

同博物館の歴史は1981年に遡ります。当時岩手県立盲学校の教諭で全盲だった故・桜井政太郎(さくらい まさたろう)氏が、自宅を改築して創設した「手と目でみる博物館」が前身です。桜井氏は高校時代、自身が博物館でヘビの剥製を触って注意を受けた経験をきっかけに、「触れて学ぶことが出来る博物館をつくりたい」と考えるようになりました。理療科の教員になってからは、生徒たちのため、剥製や標本を私費で入手し、学びに役立てました。さらにその資料を自宅でも公開し、これが博物館開設の基盤となりました。このような「視覚障がい者の知識を広げたい」という強い思いで桜井氏が収集、時には自ら製作した博物館 の資料は約3,000点にのぼり、かつその全てが触れることができるものでした。

桜井氏の情熱によって収集された多彩な触れる資料と、触覚による鑑賞を助けるために氏が自ら行った丁寧な説明に、全国から訪れた多くの視覚障害者が触れて学ぶことの意義を感じ、再訪者も少なくありませんでした。しかし、2011年に桜井氏は体調を崩し、博物館は一度、閉館します。その際に現館長の川又若菜氏の父親が桜井氏と同僚だった事もあり、氏の思いを知って収蔵品と共に博物館を引き継ぐことを決意しました。そして時を置かず、川又氏の両親が住む自宅の2階へ展示物を移し、同年7月に川又氏が2代目館長となって、博物館は再び開館しました。移転後も全国から多くの視覚障害者が訪れ、桜井氏は2016年2月に亡くなる直前まで、体調の良いときには来館者への解説役を務めました。

「桜井記念 視覚障がい者のための手でみる博物館」は原則として視覚障害者や関係者の来館を予約で受け付け、滞在時間は平均3時間ほどです。桜井氏の残した『百聞は一触(いっしょく)にしかず』という言葉が意味するところを踏まえ、見学者には説明を受けながら資料に入念に触れてもらっています。時には「初めて知ったことばかり」という感想が寄せられることもあるといい、博物館の活動は、訪れる視覚障害者に新たな発見と喜びを与え続けています。

創立者・桜井氏の意思を引き継ぎ、視覚障害者にとっての「触れて知ること」の重要性や可能性を視覚障害当事者や社会に向けて伝え続けている同博物館の活動は、視覚障害者の文化の向上に大きく寄与していることを高く評価でき、本年度の本間一夫文化賞に最も相応しいとして、選考委員の総意で受賞が決まりました。



選考委員



協賛



後援




日本点字図書館について

社会福祉法人 日本点字図書館
ホームページ : https://www.nittento.or.jp/
1940年本間一夫により創設。点字図書・音声図書の製作・貸し出し、視覚障害者用具の販売等の事業、自立訓練(機能訓練)事業および指定特定相談支援事業を行なう日本最大の視覚障害者情報提供施設。視覚障害者情報総合ネットワーク 「サピエ」の管理も行なっている。



本件に関するお問い合わせ

社会福祉法人 日本点字図書館 総務部 広報担当 澤村・成瀬
電話:03‐3209‐0241/FAX:03‐3204‐5641
Eメール:nitten@nittento.or.jp



PDF版

PDF版のプレスリリースは下記リンク先をご覧ください。
第18回「本間一夫文化賞」受賞者を発表



これまでの受賞者

第1回から前回までの受賞者については、下記のページをご覧ください。
本間一夫文化賞




本文 おわり

補助メニュー