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第19回「本間一夫文化賞」受賞者を発表

2022年10月

第19回「本間一夫文化賞」受賞者 株式会社小林鉄工所・代表取締役社長 小林博紀氏

代表取締役社長 小林博紀氏写真 社会福祉法人日本点字図書館(本部:東京都新宿区、理事長:長岡英司、以下:日本点字図書館)は、視覚障害者の文化向上に貢献した個人・団体に贈る本間一夫文化賞の選考委員会(委員長:社会福祉法人恩賜財団済生会 炭谷茂 理事長)を9月15日に行ない、第19回受賞者を、株式会社小林鉄工所・代表取締役社長 小林博紀(こばやし・ひろき)氏に決定しました。

「株式会社小林鉄工所」は、昭和8年(1933年)に創業し、今年で90年目を迎えた産業用機械の設計・製造を行なう京都市の企業です。同社は創業当初より京都府立盲学校教諭や京都ライトハウス理事長を務め視覚障害者福祉に多大な足跡を残した鳥居篤治郎と親交があり、終戦後の昭和21年(1946年)からは、盲学校等で需要のあった点字製版機の開発製造にも着手しました。

小林博紀氏は昭和11年(1936年)11月23日生まれ。昭和36年(1961年)3月に立命館大学理工学部を卒業後、すぐに父が創業した鉄工所で働きはじめましたが、同年12月に父が急逝。若くして事業を引き継いた小林氏は、手動・足踏み式だった点字製版機の電動化に取り組む一方、点字印刷機や点字タイプライター、点字作図機等、製品ラインナップを拡大してゆきます。同社製の点字関係機器は、全国の点字出版所・点字図書館・盲学校等に多数納入されました。

特に注目すべき機器は点字製版機で、電動化を追求した結果、昭和59年(1984年)に自動点字製版機が完成しました。芝浦工業大学の入江正俊氏がコンピュータ制御を、小林氏はハードウェア全般の開発を手がけました。パソコンから同機に点字データを送ると、二つ折りにした亜鉛板の表裏に点字が自動で打刻され、印刷用原版ができあがります。この原版の間に紙を挟んでローラーに通してプレスすることで、瞬時に紙の両面に点字を打ち出すことができます。現在、自動点字製版機のメーカーはわが国では同社だけです。

点字教科書や点字版選挙公報・点字カレンダー・点字メニュー表など多くの点字媒体が、同機で作った原版から印刷されています。特に点字教科書や点字版選挙公報は印刷の精度や納期の点で金属原版からの印刷が必要となるため、小林鉄工所製の自動点字製版機は、視覚障害者の学習権や選挙権の保障に欠かせない機器といっても過言ではありません。

小林氏は85歳の今もなお現役で、全国の点字図書館・点字出版所等で使われている自動点字製版機等のメンテナンスや、いまだ人力に頼る点字印刷機の自動化などの新規開発にも意欲的に取り組まれています。

小林鉄工所と小林氏が自動点字製版機をはじめとする点字関係機器で点字印刷・点字出版を長年にわたり支え、日本の点字文化の維持発展に大きく寄与されてきたことは高く評価でき、本年度の本間一夫文化賞に最も相応しいとして、選考委員の総意で受賞が決まりました。



選考委員



協賛



後援




日本点字図書館について

社会福祉法人 日本点字図書館
ホームページ : https://www.nittento.or.jp/
1940年本間一夫により創設。点字図書・音声図書の製作・貸し出し、視覚障害者用具の販売等の事業、自立訓練(機能訓練)事業および指定特定相談支援事業を行なう日本最大の視覚障害者情報提供施設。視覚障害者情報総合ネットワーク 「サピエ」の管理も行なっている。



本件に関するお問い合わせ

社会福祉法人 日本点字図書館 総務部 広報担当 澤村・石井
電話:03‐3209‐0241/FAX:03‐3204‐5641
Eメール:nitten@nittento.or.jp



PDF版

PDF版のプレスリリースは下記リンク先をご覧ください。
第19回「本間一夫文化賞」受賞者を発表



これまでの受賞者

第1回から前回までの受賞者については、下記のページをご覧ください。
本間一夫文化賞




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