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点字図書について

点字の歴史

ブライユ点字の誕生

点字が考案されるまで、視覚障害者のための文字が全くなかったわけではありません。一般の文字を木や紙に盛り上げた浮き出し文字や、紐の結び目で文字を表す結び文字などが試されてきました。しかしそれらは視覚障害者にとって、読むのにも書くのにも大変困難なものでした。

19世紀はじめ頃、パリの盲学校では浮き出し文字を用いた教育が行なわれていました。そこへフランスのもと砲兵大尉シャルル・バルビエ(Nicolas-Marie-Charles Barbier de la Serre 1767−1841)が12点式点字を持ち込みます。それは、彼がはじめ軍隊用の通信暗号や速記符号として考案したものでした。盲学校の生徒たちはたちまちバルビエの点字に夢中になりました。浮き出し文字より読みやすいばかりか、その文字は自分で書くこともできたからです。

そんな盲学校の生徒の中にルイ・ブライユ(Louis Braille 1809−1852)がいました。彼はすぐに、縦6点・横2列からなるバルビエの点字は、指で読むには長すぎることに気づきました。そこで一人で研究と改良を重ね、縦3点・横2列からなる6点式点字を考案しました。アルファベットや数字などの基本を完成させたのは1825年、ブライユはまだ16歳の少年でした。
視覚障害者にとって、読むのにも、とりわけ書くのにも適しているブライユ点字でしたが、すぐに認められたわけではありません。フランスで公式の文字として採用されたのは、ブライユが亡くなってから2年後の1854年のことでした。

点字の考案者ルイ・ブライユ
点字の考案者ルイ・ブライユ

石川倉次による日本語への翻案

その後、6点式点字は次第に欧米各国へ普及してゆき、今では世界中で用いられています。 わが国でブライユの点字が実際に用いられたのは1887(明治20)年、東京盲唖学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)教員の小西信八(こにし のぶはち 1854−1938)が、生徒の小林新吉に教えたのが最初です。たちまち読み書きを習得し歓喜する姿を見て、小西は点字の有用性を確信しました。

同年、小西は同校教員の石川倉次(いしかわ くらじ 1859−1944)にブライユ点字の日本語への翻案を依頼しました。そうして他の教員や生徒をまきこんで研究が進められ、三つの有力な案が出そろったところで「点字選定会」が開かれました。選定会は教職員ばかりでなく生徒をも交えた全校を挙げての会議でした。その後三つの案について検討が重ねられ、1890(明治23)年11月1日の第4回選定会で、50音の構成が最も合理的であった、教員の石川倉次の案を採用することが決定されました。この11月1日は現在、「日本点字制定記念日」とされています。また、石川倉次は「日本点字の父」とたたえられています。

その後、石川は1898(明治31)年に拗音点字を発表しました。この拗音点字を含めた日本語の点字が1901(明治34)年の官報に「日本訓盲点字」として発表されました。これをもって点字は日本における盲人用文字と公認されたのです。

石川倉次
石川倉次



点字のしくみ

点字の構成

点字は縦3点・横2列、六つの凸点の組み合わせで構成されています。この単位を「マス」と言います。マスの六つの点には名称があり、凸面から見て、左の3点を上から「@の点」「Aの点」「Bの点」、右の3点を上から「Cの点」「Dの点」「Eの点」と呼んでいます。点字はすべて横書きで、左から右方向へ凸面を読んでいきます。

点字の構成

点字の50音

点字の50音は、ひとつのマスの中で、子音となる点と母音(ア・イ・ウ・エ・オ)を組み合わせて表します。ローマ字のつづり方をイメージすると分かりやすいでしょう。

点字の50音

点字の撥音(ン)・促音(ッ)・長音(−)

点字の撥音(ン)・促音(ッ)・長音(−)

点字の濁音(ガ・ギ・グ・ゲ・ゴなど)・半濁音(パ・ピ・プ・ペ・ポ)

点字の濁音(ガ・ギ・グ・ゲ・ゴなど)・半濁音(パ・ピ・プ・ペ・ポ)

点字の拗音(キャ・キュ・キョなど)・拗濁音(ギャ・ギュ・ギョなど)・拗半濁音(ピャ・ピュ・ピョ)

点字の拗音(キャ・キュ・キョなど)・拗濁音(ギャ・ギュ・ギョなど)・拗半濁音(ピャ・ピュ・ピョ)

点字の数字

点字の数字

点字の句読符

点字の句読符

分かち書き

日本語の一般的な点字には漢字がありません。また、ひらがなとカタカナの区別もありません。かな・数字・符号類などによって構成されるかな文字体系であるため、点字を書く際には、意味の理解を容易にするため、言葉を空白のマスで区切る「分かち書き」が必要です。

分かち書き

*上記のほかにも、点字の表記にはさまざまなルールがあります。詳しくお知りになりたいかたは以下の図書をご利用ください。当館用具ショッピングサイトでも取り扱っております。

  • 『日本点字表記法2001年版』(日本点字委員会、2001年)
  • 『点訳のしおり』(日本点字図書館、2002年)
  • 『点訳のてびき』(全国視覚障害者情報提供施設協会、2002年)
  • 当山啓著 『新装版 点字・点訳基本入門』(産学社、2008年)
  • 『点字表記辞典 改訂新版』(視覚障害者支援総合センター、2002年)

点字図書その姿形

サイズとボリューム

点字図書はほとんどの場合、B5に近いサイズです。一般の文庫本やハードカバーの図書などと比べて大きいという印象を受けますが、これは点字が一般の活字よりも大きくて1ページに入れられる文字の数が限られているためです。

(左から文庫本、B5紙、点字図書)
(左から文庫本、B5紙、点字図書)

さらに、点字はかな文字体系であるため、活字図書の漢字かな混じり文は表音表記されます。そのため、活字図書を点訳すると、ページ数は数倍にまで増えてしまうことがあります。また、印刷時には厚手の紙の両面に点字を打刻します。これを一冊に綴じると大変かさばってしまいますので、点字図書は多くの場合何冊かに分けて製本します。
写真は、澁澤龍彦の小説『高丘親王航海記』の文庫版と点字版です。文庫版は約250ぺージですが、点字版は約480ページで三分冊されています。

澁澤龍彦の小説『高丘親王航海記』の文庫版と点字版

製本

点字図書は多くの場合、郵送により貸し出し・返却されます。そのため衝撃に耐えうるように仕上げる必要があります。当館蔵書のほとんどは以下の二つの方法で製本されています。

バインダー製本:もっとも簡便な方法で、穴の開いた用紙に印刷して綴じるだけです。開きがよくて読みやすく、堅牢です。

上製本(無線綴じ):糊で背を固めて、クロスを貼ったボール紙表紙をつけます。いわゆるハードカバーです。

点字図書を読む

点字はすべて横書きです。左から右へ、人さし指の腹で一文字ずつ触って読んでいきます。その速さには、失明の時期や経験によってかなり個人差がありますが、熟練者となると、晴眼者が活字図書を黙読するのと変わらない速さで読むことができます。その感覚を、当館のある視覚障害職員は、「指の上を、文字が電光掲示板のように流れていく」と表現します。

点字図書館のことをさらに詳しく知りたい人は、館内バーチャル見学

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