イメージ

ここから本文

録音図書について

録音図書を知っていますか?

通常、書店に並んでいる活字の図書は、視覚に障害のある人たちには読みにくいか、または読むことができません。そこで、耳で聴いて読書できるように朗読し、その音声を収録したものが録音図書です。

最近、一般の書店でも耳で聴く図書が見られるようになってきましたが、まだその数は決して多くはありません。 日本点字図書館では、録音図書を自ら製作して全国の視覚障害者に無料で貸し出しを行っており、その規模は日本最大です。


録音図書の歴史

視覚障害者のための録音図書の歴史は、欧米で「トーキングブック」の製作と貸し出しサービスが始まった1930年代に遡ります。アメリカでは当初、レコード(ソノシート)が使われていました。

テープをトーキングブックとして用いたのはドイツが最初でした。日本での使用は、テープレコーダが民生用として販売されるようになった1950年代に遡ります。1957年2月、東京都目黒区の中目黒教会婦人部の方々が、当時まだ貴重品であったテープレコーダで本の朗読音声をテープに録音し、現・筑波大学付属視覚特別支援学校の生徒に届けたのが始まりです。その後、このテープは国際基督教奉仕団により、一般の視覚障害者に貸し出されました。

日本点字図書館での録音図書製作と貸し出しの開始は、これに遅れること1年の1958年でした。テープ図書の貸し出しサービスを熱心に求める視覚障害学生に応えるかたちで、テープレコーダ1台、テープ50本からのスタートでした。日本点字図書館「声のライブラリー」という名称で、当時としては大変おしゃれなネーミングでした。女優の黒柳徹子さんも、この「声のライブラリー」に朗読者として参加してくださったお一人でした。


1950年代に使用したオープンテープレコーダ     7型リールオープンテープ
1950年代に使用した
オープンリールテープレコーダ
  7型オープンリールテープ

録音図書の形態がオープンリールテープからカセットテープへ移行する際、当館ではカセットテープの走行速度を半分の2.4cm/秒に落として1本のテープに2倍の録音を行なう事ができる、半速録音を採用しました。1本のテープにより多くの情報を録音できることにより、郵送で貸し出しを行なう際に荷物の量を半分にできる事、同様に書庫への収納スペースも半分に出来る事などがその理由でした。
カセットテープは世界規格として作られているため、走行速度などに特許規格があり変更する事ができないため、視覚障害者向け録音図書用として特別に許可を取得し、松下電器(現パナソニック)と共同開発で盲人用リーディングマシン(テープレコーダー)をカセット図書用に製作しました。


カセットテープ図書     盲人用カセットテープレコーダー
約35年間録音図書として活躍した
カセットテープ図書と郵送ケース
  半速/標準速の2スピード録音に対応した
盲人用カセットテープレコーダー

録音図書の種類

現在、録音図書はCD図書のみ(2011年3月でカセットテープによる貸し出しは終了しました)の扱いになります。CD図書は、通常の音楽形式のCDも一部ございますが、原則としてデイジー図書と呼ばれる視覚障害者向けデジタル録音図書になります。

1999年から貸し出しが始められたデイジー図書は、CD1枚におよそ60時間もの録音ができることや、章や見出し、ページごとに聞きたい場所へ移動することが出来るといった優れた機能を持っています。

デイジー(DAISY)とは、Digital Accessible Information Systemの略で、視覚障害などで活字の読みが困難な人のために製作されるデジタル図書の国際標準規格です。

デイジー図書
デイジー図書(右は貸し出し用ケース)

デイジー図書は、CDの形で貸し出されるほか、「びぶりおネット」や「サピエ図書館」という、視覚障害者等のための電子図書館にも登録されます。
登録された図書は、インターネットを介して利用者のパソコンに直接配信されます。
このようなサービスを利用すれば、図書館に貸し出しの依頼をする必要がなく、希望の図書が貸し出し中で借りられないということもありません。


製作方法の変遷

録音図書の製作方法は、オーディオ関連機器やIT技術の発展から少なからず影響を受けてきました。

マスター音源の録音メディアは、オープンテープからカセットテープ、MOと、小型化・デジタル化していきました。
今日では特定のメディアを使わず、データを直接サーバへ蓄積するようになりました。
録音や校正、編集は、パソコンで行っています。

2005年からは、インターネット技術を使った録音図書製作「びぶりお工房」を始めました。
これは、ボランティアの方々に当館のスタジオで朗読して頂くのではなく、ご自宅でパソコンを使って朗読し、その朗読データや製作に関わる情報をインターネット上でやり取りし、共有することで、録音図書をよりスピーディーに製作するシステムです。

1950年代の録音風景
1960年頃の録音風景

現在の録音風景
現在の録音風景


今後も、当館を利用する方々の声に耳を傾け、その時代時代の様々な技術を上手に用いながら、図書製作を行なってゆければと考えています。


録音図書はどのように聞くの?

CD録音図書には、一般の音楽CD形式とデイジー形式があることは先にご説明しました。
音楽形式のCDは通常のCD再生機でお聞きになる事ができますが、デイジー図書の場合、通常のCD再生機では聞くことができない方式のもので、専用のプレイヤーや専用の再生ソフトウエアをインストールしたWindowsパソコンが必要になります。

専用プレイヤーは、当館の用具事業課でも取り扱っています。

デイジー専用ポータブルプレイヤー

小型録音再生機プレクストークPTP1
小型録音再生機
プレクストークPTP1

録音再生機プレクストークPTR3
録音再生機
プレクストークPTR3


くつろいで読書を楽しむ利用者
デイジー図書を楽しむ利用者

点字図書館のことをさらに詳しく知りたい人は、館内バーチャル見学

本文 おわり

補助メニュー
文字の大きさ
メインメニュー