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ユニバーサルデザイン(UD)の推進 : 図書館の新たな試み

触知案内図や点字サインの製作と監修

みなさんは、駅や市役所などへ出かけた際に、触って分かる地図や点字の案内板を見かけたことはないでしょうか?
触って分かる地図は「触知案内図」、点字の案内板は「点字サイン」などと呼ばれます。
視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)や音声案内・音響案内などといった視覚障害者の誘導/案内設備の一つとして、独りで街を歩く視覚障害者を助けるために大切な役割を担っています。

触知案内図触知案内図クローズアップ

街なかに設置されている触知案内図や点字サインの歴史は1970年代初頭から始まりました。日本点字図書館では、その最初期からこれらの製作に携わっています。
当初、福祉の現場で製作されていた触知案内図や点字サインは、1990年代から法律などで設置が義務づけられるようになると、いわゆる建築工事の一環として製作されるようになりました。
その結果、わが国では、世界でも例をみないほど多量の触知案内図や点字サインが整備されています。
これは一見素晴らしいことのようですが、一方で質の低下という新たな問題を生んでいます。

1階なのに「5階」という点字が表示してあったり、上下逆さまであったり、マスあけ(分かち書き)が間違っていたり、誰も触るはずのないところに設置されていたり、どう触っても理解できなかったり・・・といった触知案内図や点字サインが、あちこちで作られています。

そうした問題の背景には、視覚障害者への情報提供や点字についての知識などを持たない業者が、ただ「法律で付けるように言われたから」、見よう見まねで作ってしまう、といった実態があります。
このような状況を当館職員が指摘した論文「街で見かける点字サイン・その問題点」(『視覚障害』 No.161,pp.1-22,1999年)は、読売新聞の一面にも取りあげられるなど大きな関心を呼ぶと同時に、その後「監修制度」といったものを取り入れる企業・自治体が多く増えるきっかけとなりました。

日本点字図書館では、豊富な知識・経験と当事者ニーズの分析に基づき、さまざまな場面における視覚障害者の誘導/案内設備の導入に対するお手伝いをしております。

使いやすさの研究と普及(JIS・ISOなど標準化活動への取り組み)

視覚障害者にとっては、決まった情報が、決まった場所に、決まった形で用意されていることが、とても重要です。
例えばシャンプーとリンス。二つの容器はとてもよく似たデザインになっていることが多いのですが、シャンプー容器の両側面にギザギザを付けることで、リンス容器との識別ができるようになります。

あるいは、トイレに入ったとき、洗浄ボタンの位置と非常ボタンの位置が決まっているならば、押し間違えるといった不都合も減るでしょう。
また、点字サインを設置する場所であるとか、触知案内図に使う図記号といったものも、ルールを決めることで、利用者に効率よく情報を伝えることができます。

こうしたルール作りを「標準化」と言います。さまざまな設備・製品に施される配慮の標準化が進めば、視覚障害者の生活はより安全・便利になります。

そこで近年、日本では視覚障害者を含む高齢者や障害者の生活の安全・便利を助けるために、新しいJIS規格が次々と作られています。
上記以外にも、テレホンカードの切り欠きや牛乳紙パックの切り欠き、視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の形状、消費生活製品の報知音などなど…

シャンプー容器のギザギザ牛乳パックの切り欠きラップ箱の浮き出し文字

日本点字図書館では、財団法人日本規格協会が発行するJIS規格「高齢者・障害者配慮設計指針」シリーズのための原案作成委員会をはじめとする多くのプロジェクトに職員を専門家として派遣しています。

また、国の規格となる以上、多くの人の意見を反映させる必要があります。いくつかの規格については、標準化のための調査・研究もおこなっています。
さらに最近では、こうした規格を世界に発信していくお手伝いもしています。
その他、各企業からの依頼による個別のモニター・調査もおこなっています。

【お問い合わせ】
日本点字図書館 点字製作課
〒169‐8586 東京都新宿区高田馬場 1‐23‐4
<触知案内図や点字サインの製作・監修>
電話 03‐3209‐3202
FAX  03‐3209‐3203
<使いやすさのモニター・調査>
電話 03‐3209‐0671
FAX  03‐3209‐0672

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